机の上のかざぐるまで彼が遊んでいます。彼は影だけの存在です。壁にはかざぐるまの影と彼が映っています。
彼は影ですから、実体は存在しません。でも実在するかざぐるまを回しているのは彼です。影が実体を動かしているのです。
影のみの実体のないものという存在を、あなたは否定できません。影が持つ確かな存在感をあなたは感じるからです。そしてその存在感そのものも彼と言えるのです。
普段の生活で私達は、足下からのびる自分の影にあまり意識をおかないでしょう。
常にそこにある物、自分と一対にあるものと感じています。ですが、もし影だけが独立して存在したとき、私達はそれに対してどのように感じるのか。
影は実体と違って、伸びたり縮んだり消えたりもします。影を扱うことによってどんな表現ができるのか、そういったことを考えながら制作をしていきました。