時間がかかる、時間の遅延がある事を全て<タイムラグ>として否定的に捉えたり、スピーディーであることが、私たちの<豊かさ>を保証すると考えるならば、それは根本的な錯誤であると思われる。
無駄な時間を省いて、残った時間で豊かな生活を、と宣伝されながら、その残った時間もすべて無駄な時間を省くという心性に汚染され、時熟を味わえないからだ。
結局、私たちの生活は、テンポ全体が単にあわただしく加速しているだけなのである。
現代はものすごいスピードで変化を遂げている。
新しい規格が次々に発売され、「アーリーアダプター」と呼ばれる、先駆的にそれらを使い始める少数派の人々がいて、彼らに続いて「ならば私も」と乗り遅れないようにする多数派の存在がある。「変わらない派」もいるが、しばしば 機械オンチ などと呼ばれることもあり肩身の狭い思いをしているのである。